水について
(1)おいしい水とは
本来水は無味無臭なのです。
雨水を調べてみても,蒸留水に近く、ミネラル成分などをほとんど含んでいません。
この点ではある意味きれいな水とも言うことができます。
しかし不純物をまったく含まない「純水」は、味の点からすると湯冷ましと同じように
とても飲めたようなものではありません。
雨水は地球上に降った後に、いろんな地質層や岩石層の狭い隙間に浸み込んでいって、
いろいろなミネラル成分(カルシウム、マグネシウムなど)を溶かし込みます。
水に味があるというのは、飲み水が純粋なH2Oではなく、鉱質分などを溶かし込んでいるからなのです。
天然ミネラル水の中には、岩盤の鉱質、苔や藻などの微生物など実に500種以上の物質がほどよく溶け込んでいます(もちろん微生物が多量に存在するような水は飲料には適しません)
さらに水には硬度があります。
水には軟水と硬水があり、水に含まれているミネラル成分(カルシウム、ナトリウム、カリウムなど)によって分けられます。
1リットル中100mg以下が軟水、200mg以上が硬水とされています。
日本の水の場合はほとんどが100mg以下の軟水です。この硬度は水の味を決める大きな要素の一つです。
それでは「おいしい水」とはどのような水でしょうか。
味は個人の嗜好もあり、いちがいに言うには難しい部分がありますが、厚生労働省の「おいしい水研究会」の調査結果によると以下の通りになっています。
・ 蒸発残留物(ミネラル):30〜200mg/l
・ 硬度:10〜100mg/l
・ 遊離炭酸:3〜30mg/l
・ 過マンガン酸カリウム消費量:3以下
・ 臭気度:3以下
・ 残留塩素:0.4mg/l以下
・ 水温:最高20度以下
また、含有成分の他に水のおいしさを決める要素として水温があげられます。ぬるい水も冷たすぎる水もおいしくないように、やはり適温というものがあります。一般に飲み物がおいしく飲める適温は、体温マイナス25度だと言われています。
個人の体温差によって多少のずれもありますので、だいたい10〜15度の範囲と考えておけばよいでしょう。
(2)水道水に含まれる有害物質
水道水中には、水道法の水質基準値以下ではありますが、トリハロメタンやトリクロロエチレン、シマジンなどの有害物質、気になるカビ臭や残留塩素などの「おいしさを阻害する成分」が含まれていることがあります。
総トリハロメタン
消毒副生成物として、浄水場での塩素剤添加後に発生し、発ガン性があるといわれています。
水道水中の残留塩素と有機物(アンモニア性窒素、フミン質)が反応して生成されます。
トリクロロエチレン(有機溶剤)
ハイテク工場などで使用されている機械部品などの洗浄剤の成分で、工場排水等から地下水に
混入する可能性がある物質です。中枢神経障害の原因になるといわれています。
シマジン
林野、ゴルフ場等で使用される除草剤の一種です。雨などによって地下水に混じり、水道の原
水に混入することがあります。
残留塩素
日本では水道法で残留塩素の一定値が定められています(水道水1リットル中0.1mg以
上の含有量)。塩素が残っている水では細菌が完全に死滅しているからです。
しかし、この塩素が水道の「おいしさを阻害する成分」になっています。水道の水は特有のカルキ臭がしますが、これは塩素自体の臭いではなく、塩素が細菌と反応することによってカルキ臭が発生してしまうのです。細菌が多ければ多いほど多量の塩素を必要とし、カルキ臭も強くなります。つまり水道のカルキ臭が強い地域は、それだけ水源の汚染がひどいとも言えます。
それでも水道水の中に細菌がいる以上、塩素を入れないわけにはいきません。その量を減らすには、まず水源をきれいにして細菌の量を減らすしかないのです。
|